冬本番の装い|12月の着物コーディネートと冬の文様

冬の着物

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空気がキリッと澄み渡る12月。

街のイルミネーションや冬ならではの静けさが、着物の美しさを一層引き立ててくれる季節です。

「寒そう…」と敬遠されがちな冬の着物ですが、実はこの時期だからこそ楽しめる「色」や「柄」、そして「ふわふわの防寒アイテム」がたくさんあります。

今回は、12月の街並みに映えるコーディネートのコツと、知ればもっと楽しくなる「冬の文様」についてご紹介します。

季節感を味方につけて、心ときめく冬の着物時間を過ごしてみませんか?

12月の色合いのおすすめ

冬の着物は、色の選び方ひとつで「季節感」も「洗練度」もぐっと上がります。

12月は空気が澄んでいるため、「深みのある色」や、イベントを楽しむ「遊び心のある色」がよく映えます。

なりたい雰囲気に合わせて選んでみましょう。

冬の着物コーディネートでは、次の色合いが特におすすめです。


【シックに決める】深みのある落ち着いた色
冬の静けさに寄り添う、大人の上品カラーです。

グレー  -都会的で洗練された印象―

シルバー寄りの明るめグレー
落ち着いたダークグレー
着物にもよく合う深いチャコール系

    -古典柄とも相性抜群の“渋み”カラー-

はんなりとした藤紫
高貴な濃い紫
深みのある京紫

    -ニュアンスで差をつける冬の黒-

漆黒のような純黒
柔らかさのある墨黒
チャコールに近い黒

コーディネイト例

淡いグレーに青帯とサーモンピンクを差し色にした、冬でも明るく見える柔らかな配色がポイント
深い紫に落ち着いた緑の帯を重ねることで、上品さと季節感を両立したバランスの良い装い
黒地の柄に淡い青帯を合わせ、重くなりがちな冬の黒をすっきり見せる色使いが魅力

【季節を楽しむ】クリスマスカラーのアクセント
12月ならではの楽しみと言えばクリスマス。 赤・緑・白・ゴールドを小物(帯締め・帯揚げ・半衿)でさりげなく取り入れるのが「大人の遊び心」です。

    ―落ち着きがあり、和装の差し色として使いやすい―

落ち着きがあり、和装の差し色として使いやすい定番。
クリスマス感がありつつ、上品さを保てる赤。
深みがあり、大人向け。黒やグレーとも相性◎

    ―冬の装いに自然になじむ深みのある色―

最も深く、冬の装いにしっくりくる緑。
少しくすんだ、柔らかさのある緑。
明るすぎず、白や生成りと合わせやすい。

    ―他の色を引き立てたいときの基本色―

半衿・小物の基準色。
着物らしい温かみのある白。
ゴールドや赤と合わせやすい、やや黄み寄り。

ゴールド ―控えめに使うことで、品よく華やかさをプラス―

上品で控えめ。和装向き。
帯や金糸のイメージに近い色。
光りすぎず、落ち着いた印象。

コーディネイト例

アイボリーの縞に緑と臙脂を効かせた、上品で落ち着いたクリスマス小物コーデ。
赤茶の着物に黒帯とゴールドを添えて、華やかさと品を両立した12月の装い。
赤と緑のチェック柄に白帯を合わせ、季節感を楽しむ大人のカジュアル着物。

【透明感をまとう】冬にあえての「明るい色」
重たくなりがちな冬の街に、パッと花が咲いたような明るい色も素敵です。

ピンク      ―血色感をプラスし、顔まわりを明るく見せたいときに―

甘さ控えめ。大人が使いやすい血色カラー。
顔まわりを明るく見せる、やさしい印象。
小物向き。主張せず、全体をやわらかく。

ライトグリーン  ―重くなりがちな冬の装いに、軽やかさを添える色―

冬の重さを和らげる、清潔感のある色。
少しくすんだ、大人向けのライトグリーン。
生成りや白と相性がよく、着物らしい柔らかさ。

パステルトーン  ―淡い色味が、冬の空気感にやさしくなじみます―

冬の透明感を感じさせる、すっきりした色。
冷たさの中に、ほんのり華やかさ。
光を足したいときの名脇役。主張しすぎない。

コーディネイト例

淡いピンクが肌色を明るく見せ、やさしく柔らかな印象に。
ライトグリーンの色無地に深みのある小物を合わせ、冬でも軽やかな装い。
クリームイエローにパステルの花柄を散らし、透明感のあるやわらかな雰囲気。

冷たさを品よく表す寒色系
・水色、浅葱色
・雪景色を思わせ、12月のお出かけにぴったりの清らかな印象になります。

水色

雪明かりのような、いちばん軽い水色。半衿や小物向き。
冬の空気感が出る基準色。着物にも使いやすい。
落ち着きがあり、大人向け。全体を静かにまとめたいときに。

浅葱色

白や生成りと相性のよい、軽やかな浅葱。
青と緑のバランスが取れた王道カラー。
年末向きの落ち着いたトーン。大人の寒色。

コーディネイト例

淡い水色が冬の空気に映え、清らかで軽やかな印象に。
深みのある青緑に花柄を添え、落ち着きと華やかさを両立。
ブルーグレーの無地が、静かで都会的な冬の装いを演出。

季節の空気に寄り添いながら色を選ぶことで、12月ならではの着物の美しさがより引き立ちます。

12月の文様のおすすめ

冬の景色や植物をモチーフにした柄を身につけるのも、着物の醍醐味です。

文様特徴・意味着物での表現
雪輪(ゆきわ)雪の結晶を丸く意匠化した文様。清らかさ・静けさを表す。淡い色で繊細に描かれ、冬らしさを一気に出せる。振袖や帯のワンポイントに定番。
椿(つばき)寒中に咲く凛とした花。気高さ・長寿の象徴。大柄も小柄も映え、古典・モダン両方に使われる。振袖の人気デザイン。
松(まつ)常緑で不老長寿・繁栄を象徴する吉祥柄。松竹梅などの古典柄として礼装に用いられる。年末年始の華やかさを添える。
梅(うめ)寒さに耐えて咲く「希望」「再生」の象徴。花の丸みが可愛らしく、帯や小物で季節感を出しやすい。
南天(なんてん)“難転”に通じる縁起物。冬に赤い実が映える。帯留めや小物に使いやすく、さりげなく冬の雰囲気を出せる。
水仙(すいせん)初冬~真冬に咲く清楚な花。控えめな品格を表す。淡い線で描かれることが多く、小紋や帯に品の良い季節感を添える。
扇(おうぎ)末広がりで運が開ける縁起物。振袖・訪問着に古典柄として使われる。12月の晴れの場に最適。
鶴・亀長寿・祝福の象徴。祝いの代表文様。振袖や訪問着で格高く描かれる。年末〜正月の華やかさに合う。
宝尽くし富・幸福・繁栄を願う吉祥モチーフの集合。帯や小物で可愛らしく使われ、12月の明るい雰囲気にぴったり。

ピックアップ柄:雪輪

数ある冬の柄の中でも、特に人気が高いのが「雪輪」です。


雪輪文様とは

雪の結晶の輪郭を、ふんわりとした曲線でつないだ円形の模様です。

中に花柄が描かれたり、輪郭だけのシンプルなものだったりとデザインも多彩。

雪は「五穀の精」と呼ばれ、雪が多い年は豊作になると言われることから、「豊かさ」を願う吉祥文様としても愛されています。


雪輪文様が長く愛される理由

1、日本人の感性に響く「儚さ」 舞い落ちては消える雪の儚さが、情緒豊かな日本人の心に響きます。

2、「謙虚さ」を表す形 雪輪は完全な円ではなく、どこか欠けた形をしています。これが「完璧でないことの美しさ」や「謙虚さ」を表すとされ、奥ゆかしい美意識を感じさせます。

3、季節を問わず使える 冬はもちろんですが、夏には「涼しさ」を感じさせる柄として浴衣にも使われます。実はオールシーズン楽しめる万能な柄なのです。

雪を題材にしたその他の文様

雪輪文様以外にも、雪をモチーフにした文様はいくつもあります。

いずれも冬の情景や雪の美しさを表現したもので、着物や帯、小物に広く使われてきました。

文様名どんな柄?
雪持文
(ゆきもちもん)
笹や椿の葉に雪が積もった様子。春を待つ生命力を感じさせます。
雪華文
(せっかもん)
雪の結晶を幾何学的にデザインした、まるで宝石のような柄。
吹雪
(ふぶき)
舞い散る雪を表現。動きがあり、軽やかな冬の雰囲気に。
矢雪
(やゆき)
結晶を矢羽根に見立てたシャープな柄。モダンな装いにぴったり。

12月の防寒アイテムと着こなしのポイント

「着物は寒い」と思っていませんか?

実は、洋服と同じようにアイテムを重ねることで、ぽかぽかと暖かく過ごせます。

アウターで「見せる」防寒

一番外側にくるコートやショールは、冬の着物姿の顔になります。

  • 和装コート(道行・道中着)
    • きちんと感があり、礼装からカジュアルまで対応できる万能選手。
  • ショール・ストール
    • 大判のカシミヤやウール素材がおすすめ。深紅や濃紺など、こっくりとした冬色を選ぶと素敵です。
  • ポンチョ・ケープ
    • 洋服兼用のものも多く、袖を通さずに羽織れるので着脱が楽ちんです。

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▼ 私が実際に使っているポンチョ風の和装コート
きちんとした場向きというより、日常の外出で着物を着るときに使っています。
袖を通さずに羽織れるので、着脱がスムーズで、気負わず着られるところが気に入っています。

私が愛用しているポンチョ風コートはこれ

インナーで「隠す」防寒

見えない部分の工夫こそ、冬着物の快適さを左右します。

  • 発熱素材のインナー
    • 衿ぐりが大きく開いた着物専用インナーや、5分袖のシャツが便利。
    • ポイント:後ろの衣紋(えもん)からインナーが見えないよう、背中が深く開いたものを選びましょう。
  • 足元の冷え対策
    • 保温足袋や、足袋の下に履く「足袋インナー」、フリース素材の足袋などが優秀です

着物の防寒インナーや重ね方については、別記事で詳しく解説しています。
「着物の防寒対策まとめ記事」


こうした小さな工夫を重ねることで、冬のお出かけがぐっと快適になります。

寒さに負けず、美しい着物姿を楽しんでくださいね。

まとめ

12月の着物は、寒さ対策さえしっかりすれば、冬ならではの深い色や美しい雪の文様を存分に楽しめる、とても魅力的なファッションです。

「今日はクリスマスだから赤い帯締めを」「雪が降りそうだから雪輪の帯を」 そんな風に、景色と会話をするようにコーディネートを選んでみてください。

温かいコートとお気に入りの着物で、冬の街へ出かけてみませんか?

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