七五三は、お子さまの健やかな成長を祝う大切な節目の日です。
主役はあくまでもお子さまですが、実はお父さまの服装や立ち居振る舞いは、家族全体の印象や写真の仕上がりを大きく左右します。
「どんなスーツを着ればいいのだろう?」
「和装に挑戦しても大丈夫かな?」
そんな不安をお持ちのお父さまも多いのではないでしょうか。
この記事では、失敗しない父親の服装マナーからスーツや和装の選び方、そして当日を乗り切る心構えまでを分かりやすくご紹介します。
お子さまの晴れ姿を最高に引き立てるために、ぜひ最後まで読み進めてください。
基本スタイル:失敗しないスーツの選び方と最新マナー

七五三の父親の服装として、最も定番で安心なのはスーツスタイルです。
派手さよりも落ち着きと清潔感を大切にすると、どの場面でも失敗がありません。
色の選び方
おすすめはネイビー、チャコールグレー、ブラックといったダークカラーです。
これらはフォーマル感があり、神社や写真撮影でも上品に見えます。
柄の選び方
基本は無地が安心です。どうしても柄を取り入れたい場合は、細めのストライプ程度なら問題ありません。
ただし光沢が強い生地や派手な柄は避けた方が安心です。
シャツとネクタイ
シャツは清潔感のある白が基本です。ネクタイは落ち着いた色や控えめな柄を選ぶと上品にまとまります。
シルバーやネイビーのネクタイは七五三の装いにぴったりです。
小物の工夫
ポケットチーフを一枚加えると、さりげなく華やかさを演出できます。
派手すぎない白やシルバー系を選べば、お祝いの場にふさわしい印象になります。
NGポイント:避けたいスーツ選び
光沢が強い生地や明るすぎる色(白、ベージュなど)
主役であるお子さまより目立ってしまうため、避けるのが無難です。
ビジネス感が強すぎるデザイン
あまりに太いストライプや派手なチェック柄は、お祝いの場には不向きです。
父親のスーツスタイル3選
七五三の服装はフォーマル〜セミフォーマルが基本です。
子どもの服装が洋装で母親もカジュアルな場合は、父親もジャケパンスタイルなど、カジュアル寄りの服装で問題ありません。
ただし、ジーンズやスウェットなどカジュアルすぎないよう注意しましょう。



和装の選び方:家族で着物を楽しむためのルール

お子さまやお母さまが和装の場合、お父さまも着物を選ぶと家族全体の統一感が出て、写真映えも一層華やかになります。
ただし、いくつかのマナーを意識することが大切です。
●母親と父親の着物格合わせの一例
七五三で両親ともに着物を着る場合、格のバランスを揃えることが大切です。
以下は母親と父親の装いを合わせる際の一例です。
母親の着物 | 父親の着物 |
---|---|
色留袖 | 色紋付羽織袴 |
色無地 | お召し羽織袴 |
訪問着 | お召し羽織袴 |
訪問着 | お召しの着物に羽織、または羽織袴 |
付け下げ | お召しや紬の着物に羽織 |
格を子どもより下げるのが基本
七五三の主役はあくまでもお子さまです。お父さまが黒紋付を着ると、場合によってはお子さまより格が高くなってしまうことがあります。
そのため、落ち着いた色合いの「紋のない羽織袴」を選ぶのが安心です。
羽織を必ず着用する
和装の際は、羽織を着ることでフォーマル感が整います。
羽織があることで全体の印象がきちんとまとまり、神社の厳かな雰囲気にもよく合います。
【注意】 羽織を着用しない「着流し」は、七五三のような格式ある場にはカジュアルすぎるため避けましょう。
足元(足袋・履物)について
足袋は「白」が無難で、正装感を高めます。
また、草履や雪駄を履く際も、汚れがないか事前に確認しておきましょう。
色選びのポイント
紺、濃いグレー、深緑など落ち着いた色がふさわしいです。
派手な色や明るすぎる色は、お子さまの装いを引き立てる観点からも避けた方が良いでしょう。
和装初心者の方
普段着物を着ない方は、着物レンタルサービスを利用するのが最もおすすめです。
お子さまの着物と色柄を合わせて提案してくれるため、統一感のあるコーディネートが簡単に完成します。
【要注意!】和装で避けるべきNGマナー
羽織のない「着流し」:羽織を着用しない「着流し」は、七五三のような格式ある場にはカジュアルすぎるため避けましょう。
第一礼装の黒紋付:先述の通り、お子さまの格を上回る可能性があるため、黒紋付羽織袴は避け、控えめな紋のない羽織袴を選びましょう。
足袋の色:足袋は白が無難です。柄物や色付きの足袋は、カジュアルな印象になってしまうため避けてください。
父親の着物スタイル3選
七五三で父親が着物を着るのは「成人式以来」という方も多いかもしれません。
購入するかレンタルするか、準備は早めに始めておくのが安心です。



💡準備のポイント
呉服屋で誂える場合は3か月ほどかかることもある
レンタルは直前だと人気の着物が借りられないことも多い
男性の着付けは女性ほど難しくないので、自分で挑戦してみるのもOK
親族や美容院・着付け師に頼めばスムーズ
清潔感チェックリスト:お祝いの場にふさわしい最終確認

どんなに素敵なスーツや和装を選んでも、清潔感が欠けていると全体の印象は大きく変わってしまいます。
七五三は神さまの前でお子さまの成長を感謝する大切な日。お祝いの場にふさわしい身だしなみで臨みましょう。
1. スーツ・シャツの最終点検
ご家族の写真の印象を左右する「服装」の細部まで確認しましょう。
- シワ・ヨレの確認: スーツやシャツに目立つシワやヨレがないか最終チェックを。特にシャツの襟元や袖口、パンツの膝裏など、シワがつきやすい部分を念入りに確認し、アイロンをかけておくと安心です。
- 汚れの確認: ネクタイやシャツの襟、袖口、ポケットなどにシミや汚れがないかチェックします。
- サイズ感: サイズの合っていないスーツはだらしなく見えます。直前に鏡で確認し、肩や袖丈が合っているか確認しましょう。
2. 足元は「身だしなみの鏡」
足元は意外と見られているポイントです。靴が汚れていると、せっかくのフォーマルな装いも台無しになってしまいます。
- 靴磨き: 靴(革靴)はピカピカに磨いておきましょう。汚れや傷みが目立つものは避け、フォーマルな場にふさわしいものを選びます。
- 靴下: スーツの色に合わせた黒や濃紺の無地の靴下を着用します。座ったときに見えてもおかしくないよう、長さがあるものを選びましょう。
- 和装の足袋: 和装の場合は、真っ白な足袋を着用します。汚れていないか前日に確認しておきましょう。
3. 細かい身だしなみ(グルーミング)
写真に写る顔周りや手元は、特に注意が必要です。
- 爪・髭: 爪は短くきれいに整え、髭はきれいに剃る(または整える)など、清潔な印象を心がけましょう。
- 髪型: 寝癖を直し、整髪料などで整えて清潔感のあるスタイルにしましょう。
- 小物: ベルト、ネクタイ、ネクタイピンなどが派手すぎないか、スーツのトーンと合っているか最終確認を。
最終確認チェックリスト
項目 | チェック内容 | ポイント |
---|---|---|
スーツ・シャツ | シワ、ヨレ、汚れ、サイズ感 | 襟元・袖口・膝裏を念入りに |
靴・靴下 | 革靴を磨く、靴下は黒か濃紺 | 座ったときに足首が見えない長さ |
足袋(和装) | 真っ白で汚れなし | 前日チェックが安心 |
爪・髭 | 爪を短く、髭を清潔に | 写真で目立つので注意 |
髪型 | 寝ぐせ直し、清潔感を整える | 整髪料で自然に仕上げる |
小物 | ベルト、ネクタイ、ピン | スーツのトーンと合わせる |
補足説明
どんなに高価なスーツや和装を選んでも、清潔感が欠けていると印象が大きく損なわれてしまいます。特に七五三は写真に残る行事です。シワや靴の汚れ、髪型の乱れは写真で強調されやすいので、前日のうちにしっかり整えておくと安心です。
七五三の心構え:当日の裏方役として意識したいこと

七五三の主役はあくまでお子さまです。
当日の裏方役は前に出すぎず、「引き立て役」としてご家族を支える姿勢が大切です。
服装をきちんと整えたうえで、当日はこんな心構えを意識すると安心です。
●家族全体のリーダーシップを担う
着付けや準備役(主に和装を着用する側)が忙しいとき、荷物を持ったり、移動をサポートしたりするのはサポート役の大切な役割です。
また、移動の段取りや休憩の提案など、計画と体調管理のリーダーシップを担い、小さな心配りで家族全体を落ち着かせてくれます。
●写真撮影では姿勢と表情を意識
集合写真では姿勢が崩れやすく、つい無表情になりがちです。
背筋を伸ばして穏やかな表情を心がけるだけで、家族写真の仕上がりが格段によくなります。
●子どもの安心材料になる
慣れない衣装や場所で、子どもは緊張したりぐずったりすることがあります。
そんなときこそ、パートナーの落ち着いた態度が子どもに安心感を与えます。手を握ったり、声をかけたりするだけでも十分です。
●当日を楽しむ気持ちを忘れない
段取りに気を取られすぎず、ご家族と一緒にお祝いの時間を楽しむことも大切です。
笑顔で過ごした思い出は、写真以上に心に残る宝物になります。
まとめ
七五三は、お子さまの健やかな成長を祝う大切な行事です。
父親の装いは、主役であるお子さまを引き立て、ご家族全体の調和を整える大切な役割を担っています。
スーツでも和装でも大切なのは「清潔感」と「控えめな上品さ」です。
派手すぎず落ち着いた装いを選ぶことで、写真に残る姿も自然と好印象になります。
さらに当日は、荷物を持ったり移動をサポートしたりと、裏方としての行動がご家族の安心につながります。
お父さまがリードしてくれることで、家族全体が落ち着いて七五三を楽しむことができるでしょう。
何よりも大切なのは、服装や段取りにとらわれすぎず、ご家族と一緒にこの日を楽しむことです
笑顔で過ごしたひとときは、必ず心に残るかけがえのない宝物になります。
✿ コラム:Fumi’s Kimono Diary ✿
数年前のこと。七五三の記念撮影で、ひととおり子どもの写真が終わったあと、カメラマンさんが「では最後にお父さんと手をつないで」と声をかけてくれました。
慣れない羽織袴で緊張していた息子は、私の手をぎゅっと握った瞬間、すっと表情がやわらぎました。
そのときの笑顔は、今でも写真を見るたびに鮮明によみがえります。
七五三はどうしても衣装や準備に目が行きがちですが、子どもにとっては「そばにいてくれる安心感」こそが一番の支えなのだと感じました。
父親の役割は、特別なことをするのではなく、ただ落ち着いてそこにいること。それだけで十分なのだと思います。