5歳の七五三は、男の子にとって特に大切な節目の行事です。
羽織袴に身を包んだ凛々しい姿は、成長を実感できる瞬間でもあります。
この記事では、5歳七五三の由来や意味、羽織袴の選び方、写真撮影のポイント、参拝の流れなどをわかりやすく解説します。
家族にとって一生の思い出となる大切な行事を、安心して迎えるためのヒントをまとめました。
5歳の七五三とは?

七五三は、子どもの健やかな成長を願う日本の伝統行事です。
特に5歳の七五三は「袴着の儀(はかまぎのぎ)」に由来します。
この儀式は、男の子がこれまでの子ども用の着物ではなく、初めて袴を着始めるという意味を持ち、大人の仲間入りを象徴するものでした。
江戸時代以前は男女ともに行われていましたが、江戸時代に武家の男の子だけの儀式となり、現在では男の子の行事として受け継がれています。
ついこの間まで幼いと思っていた息子が、羽織袴を着る年齢になったことに、親としては驚きとともに誇らしさを感じます。
少し背伸びしたようなその姿に、成長の喜びとほんの少しの寂しさが入り混じるのも、七五三ならではの特別な瞬間なのかもしれません。
準備編:スムーズな七五三を迎えるためのポイント

5歳の七五三は、お子さん自身も行事の意味を理解し始める特別な節目です。
お子さんの気持ちを最優先に考え、事前の準備から当日まで、笑顔で過ごせるように工夫しましょう。
衣装選びから参拝、記念撮影まで、ひとつひとつ丁寧に準備を進めることが、お子さんの健やかな成長を願う大切な時間になります。
衣裳の準備:和装と洋装、どちらを選ぶ?
5歳の男の子の七五三は、凛々しい羽織袴姿が魅力的です。
伝統的な装いである和装にするか、それとも動きやすい洋装にするか、悩むご家庭も多いのではないでしょうか。
それぞれの特徴を知り、お子さんとご家族にとってベストな選択をしましょう。
▶和装:羽織袴で格式高く
5歳の七五三といえば、やはり羽織袴が定番です。キリッとした姿は、お子さんの成長を実感させてくれます。
・色と柄の選び方
伝統的な黒や紺の無地は、格式高く、どんな背景にも映えます。また、鷹や龍、兜など縁起の良い柄が入ったものは、男の子らしい力強さを表現できます。家族写真でご両親や兄弟と並んだときにバランスが取れるよう、他のメンバーの服装との調和も考えて選びましょう。
・素材と着心地
正絹や化繊など素材によって、風合いや価格が異なります。お子さんが長時間着ても苦しくないよう、着付けの際にサイズの調整や、帯の締め付けに気を配ることが大切です。

▶洋装:スーツやジャケットで動きやすく
和装も素敵ですが、活発なお子さんには動きやすい洋装もおすすめです。
・スーツやジャケットスタイル
普段とは違うフォーマルな装いは、七五三という特別な日の雰囲気を演出してくれます。
お子さんの好きな色やデザインを選んであげると、気分も盛り上がり、自然な笑顔の写真が撮りやすくなるでしょう。

お子さんが主役であることを忘れずに、本人の着たいもの、好きなもの、そしてその日の体調に合わせて、無理のない衣装選びをすることが、最高の七五三を迎えるための大切なポイントです。
参拝の流れと注意点
さあ、いよいよ神社へ。事前に流れを把握しておけば、当日焦ることなく、お子さんと一緒に神聖な時間をゆったりと過ごせるはずです。
1. 出発前:身支度と持ち物チェック
- 服装:
- 主役の衣装: 羽織袴は慣れないと動きにくいため、事前に家で着てみて、歩く練習をしておきましょう。特に草履は脱げやすいので、靴下や足袋のサイズが合っているか確認し、歩き方のコツ(すり足など)を教えてあげると良いでしょう。
- 付き添いの服装: ご両親やご家族も、フォーマルすぎず、かつTPOに合った服装を選びましょう。和装でも洋装でも構いませんが、子供の羽織袴に合わせた色合いや雰囲気にすると、写真撮影の際にも統一感が出ます。
- 持ち物:
- 千歳飴を入れる袋: 祈祷後に千歳飴やお守りをいただくことが多いので、持ち帰り用の袋(A4サイズ程度)を用意しておくと便利です。
- 軽食・飲み物: 混雑で待ち時間が長くなることもあります。お子さんが飽きないように、一口で食べられるお菓子や飲み物を用意しておきましょう。
- オムツや着替え: 小さなきょうだいがいる場合は、必ず用意しておきましょう。
- カメラ・ビデオカメラ: 記念撮影のために忘れずに。モバイルバッテリーや予備のSDカードもあると安心です。
- ご祈祷料(初穂料): 事前に封筒に入れ、表書き(「初穂料」または「御玉串料」)と名前を書いておきましょう。のし袋を使うのが一般的です。相場は5,000円〜10,000円程度ですが、神社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
2. 神社到着〜受付
- 手水舎(てみずや): 鳥居をくぐったら、まずは手水舎で心身を清めます。
- 右手で柄杓を持ち、水をくんで左手を洗う。
- 柄杓を左手に持ち替えて、右手を洗う。
- 再び柄杓を右手に持ち替え、左手に水をためて口をすすぐ。
- 口をすすいだ水を流し、残った水で柄杓の柄を清めて元の場所に戻す。
- 受付: 参拝する神社の社務所や指定された受付場所で、ご祈祷の申し込みを行います。事前に予約している場合は、予約名を伝えます。当日受付の場合は、申込書に必要事項を記入します。
- ご祈祷料(初穂料)の支払い: 受付時にご祈祷料を納めます。のし袋に入れて渡しましょう。
3. ご祈祷
- 待機: 受付を済ませたら、控室や待合室で順番を待ちます。神社の格式によっては、他のご家族と一緒にご祈祷を受ける場合もあります。
- 拝殿へ: 順番が来たら、案内係の指示に従って拝殿へ進みます。
- ご祈祷:
- 神職の方が祝詞(のりと)をあげ、お子さんの健やかな成長を祈願してくれます。
- 玉串奉奠(たまぐしほうてん)を行う場合もあります。玉串(榊の枝)を受け取り、神前にお供えします。やり方は神職の方が教えてくれるので、心配ありません。
- この間、お子さんが飽きてしまわないように、事前に「神様にご挨拶に行くんだよ」と伝えておくと良いでしょう。
4. 参拝と記念撮影
- ご祈祷後: ご祈祷が済むと、千歳飴やお守り、記念品などを授与されます。
- 自由参拝: 拝殿でご祈祷を受けた後、改めて個人で参拝をします。作法は「二拝二拍手一拝(二礼二拍手一礼)」が基本です。
- 神前に進み、軽く会釈。
- 二回深くお辞儀(二拝)。
- 手を胸の高さで合わせ、二回柏手(二拍手)。
- そのまま手を合わせ、感謝と願いを込めてお祈り。
- もう一度深くお辞儀(一拝)。
- 記念撮影:
- 神社によっては、特定の場所(鳥居の前や手水舎、拝殿の前など)が人気の撮影スポットになっています。
- プロのカメラマンに依頼する場合は、事前に撮影許可が必要な場合もあるので確認しておきましょう。
- お子さんの最高の笑顔を引き出すために、お気に入りのおもちゃや、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に声をかけながら撮影すると良いでしょう。
ご祈祷を希望する場合、事前予約がおすすめです。
当日の受付でも対応してくれる神社もありますが、スムーズな進行のためにも事前に確認しておくと安心です。
注意点
・服装の動きやすさ:羽織袴は格式高い装いですが、長時間着ていると疲れやすく、草履で歩きにくいこともあります。事前に家の中で歩く練習をしておくと安心です。
・混雑対策:人気の神社では待ち時間が長くなることも。小さなきょうだいがいる場合は軽食や飲み物を用意しておきましょう。
・記念品や授与品:祈祷後には千歳飴やお守りをいただけることが多いので、持ち帰り用の袋を用意しておくと便利です。
・事前予約: 祈祷を希望する場合、特に人気の神社では事前予約が必須のところもあります。土日や大安の日は大変混み合うため、早めの予約が安心です。
・体調管理: 慣れない衣装や長時間の移動で、お子さんが疲れてしまうこともあります。前日は早めに休ませ、体調を万全にして臨みましょう。
・神社のルール確認: 神社によっては、撮影場所やご祈祷中のマナー(携帯電話の電源を切るなど)に独自のルールがある場合があります。公式サイトなどで事前に確認しておきましょう。
3歳のときは「子どもがじっとできるか」が大きな課題でしたが、5歳では落ち着いてご祈祷を受けることもできるようになり、その姿に親としても誇らしさを感じる場面が増えます。
当日のイベント:記念撮影と会食

5歳の七五三は、お子さんの成長を写真に収める大切な機会です。
3歳とは異なり、5歳になると男の子の凛々しさや少しお兄さんになった表情が見られるようになります。
最高の記念写真を残すために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
記念撮影のポイント
5歳になるとポーズや指示も理解できるようになり、撮影の幅が広がります。
遊び感覚でポーズを取らせたり、お気に入りの小物を持たせたりすると自然な笑顔が引き出せます。
家族全員で写す写真も忘れずに残しましょう。
▶自然な表情を引き出す
・遊びを取り入れる
カメラを向けられると緊張してしまう子も多いです。撮影中に好きなおもちゃで遊ばせたり、くすぐったりして、自然な笑顔を引き出してあげましょう。「かっこいいポーズをして!」とお願いしてみるのも良いですね。
・場所を変えてみる
神社の境内の他にも、参道や庭園など、様々な場所で撮影してみましょう。場所が変わると気分も変わり、お子さんの新しい表情が見られることがあります。
・親御さんも一緒に楽しむ
親御さんが楽しんでいる姿を見ると、お子さんも安心して撮影に臨めます。一緒に笑ったり、話しかけたりして、撮影全体の雰囲気を明るく保ちましょう。
▶撮影のタイミング
・午前中の撮影がおすすめ: お子さんの体力や集中力が持続しやすい午前中に撮影をスタートするのが理想的です。
・食事や休憩を挟む: 撮影が長時間にわたる場合は、途中で好きなおやつや飲み物で休憩を挟むと、お子さんの機嫌が保ちやすくなります。
・ご祈祷と撮影を別日に: 当日の負担を減らすために、神社でのご祈祷と写真館での撮影を別日に分けて行うのも良い方法です。
羽織袴は動きづらいこともあるので、移動や待ち時間は草履や足袋に慣れておくと安心です。
食事会でのお祝い
七五三は家族の節目を祝う行事でもあり、祖父母にとっても孫の成長を実感できる大切な機会です。
5歳になるとお子さんもしっかりしてきて、祖父母に晴れ姿を見せたいと考えるご家庭も多いでしょう。
参拝や撮影を終えたあとに、家族で食事を楽しむのも素敵な思い出になります。
祖父母への連絡・調整については、[こちらの記事]をご参照ください
よくある質問 Q&A:5歳の七五三、お悩み解決ガイド

5歳の七五三でよく寄せられる疑問や悩みに答えました。準備を進めるうえでのヒントとしてぜひ参考にしてください。
**Q1. 羽織袴は必ず着なければなりませんか?**
A: 伝統的には羽織袴が主流ですが、必ずしもそうである必要はありません。動きやすい和装や洋装を選ぶ家庭も増えています。
**Q2. 写真撮影で子どもの集中力が続かないのでは?**
A: 撮影は短時間で区切るのがおすすめです。お気に入りのおもちゃを使ったり、ポーズを遊び感覚にしたりすると笑顔を引き出しやすいです。
**Q3. 七五三のお参りは祖父母も一緒に行ったほうがいいですか?**
A: 家族のスタイルに合わせましょう。祖父母を招けば華やかになりますが、人数が増える分、移動やスケジュール調整の負担が大きくなることもあります。無理のない形を選ぶことが大切です。
まとめ
5歳の七五三は、羽織袴を身にまとい、男の子の成長を祝う特別な節目です。
衣裳選びや撮影、参拝の流れなど準備することは多いですが、一つひとつ整えていけば無理なく迎えられます。
大切なのは完璧さではなく、その子らしい姿を家族みんなで喜び合うこと。
今年の七五三が、ご家庭らしいかたちで思い出に残る一日となりますように。
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5歳の七五三といえば、羽織袴をまとった姿が印象的です。去年まで幼さの残っていた子どもが、凛々しく立つ姿を見ると、その成長の早さに胸を打たれるご家族も多いでしょう。
アルバムをめくれば、親世代や祖父母世代の七五三の写真が残っていることもあります。世代を超えて受け継がれる行事であることを実感できる瞬間です。
七五三は当日の晴れ姿だけでなく、その準備や振り返りの時間までもが、家族にとって特別な思い出になるのだと感じさせてくれます。